小児整形外科【アニュアルレポート】
1.スタッフ(2023年4月1日現在)
科長 | (学内教授) | 渡邉 英明 |
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医員 | (病院助教) | 滝 直也 |
(病院助教) | 小沼 早希 |
2.診療科の特徴
(診療科内容)
小児の脊椎、骨、関節、筋その他の運動器に生じる疾患や外傷に対する診療を行なっています。
以下に主な対象疾患を挙げます。
脊椎および脊髄疾患(腰痛症、椎間板ヘルニア、脊椎分離症すべり症、脊柱側弯症、後弯症、先天性側弯症、二分脊椎など)、斜頚、スプレンゲル変形、多合指?趾4症、野球肘、股関節疾患(先天性股関節脱臼、ペルテス病、大腿骨頭すべり症など)、膝関節疾患(Blount病を含むO脚?X脚変形、離断性骨軟骨炎、円板状半月など)、足部疾患(先天性内反足、麻痺性足部変形など)、多発性関節拘縮症、骨系統疾患、骨代謝疾患(くる病など)、骨関節感染症などです。
(当科の特色)
1:脊椎疾患
小児整形外科では、センター設立以来、小児脊柱変形(側弯症、後弯症)の治療に最も力を入れております。特に近年では症候性脊柱変形(脳性麻痺やMarfan症候群、神経線維種症などに伴う側弯症、後弯症)の治療も増えてきました。
また幼児期側弯(Early onset scoliosis)に対しても積極的に全身麻酔下にギプス矯正治療をおこなっている全国でも数少ない施設の一つです。また、近年では無麻酔で側弯矯正ギプス巻きを積極的におこなっております。その理由としては、中等症以上の幼児側弯が増えてきており、一人の患者に年に2-3回のギプス巻きが必要なことと麻酔を必要とする場合には、手術枠確保が極めて難しいことがあります。
2:足部疾患、股関節疾患
これまでと同じく先天性内反足、麻痺性足部変形の診断と治療を積極的におこなっております。幼少児の軟部組織解離術はもとより思春期や成人の麻痺性足部変形に三関節固定術も積極的に行っております。また、この数年間では脳性麻痺や特発性の臼蓋形成不全症に対する寛骨臼移動術(Salter手術、骨盤triple osteotomy)症例も増加しております。
また、毎週月曜日夕方、一週間ごとに放射線科のスタッフと外来および入院症例のケースカンファランスを行っています。また、2か月に一度、小児リハビリテーションスタッフと小児リハビリテーションカンファランスを、1か月に一度小児科腫瘍班と栃木県立がんセンター整形外科との小児腫瘍カンファランスを行っております。
?専門医
日本整形外科学会専門医 | 渡邉 英明 |
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滝 直也 | |
小沼 早希 |
3.診療実績?クリニカルインディケーター
1)新来患者数?再来患者数?紹介割合
新来患者数 | 383人 |
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再来患者数 | 4,536人 |
紹介率 | 80.6% |
(外来担当医師)
渡邉 英明 | 小児脊柱変形、小児股関節?足部疾患、小児整形全般 |
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滝 直也 | 同上 |
小沼 早希 | 同上 |
2)手術症例病名別件数
病名 | 件数 |
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側弯矯正手術 | 9件 |
胸椎、腰椎前方固定術 | 1件 |
脊柱側弯症全身麻酔下ギプス巻き | 5件 |
全身麻酔下脊髄造影術 | 10件 |
先天性股関節脱臼観血的整復術 | 7件 |
寛骨臼移動術(Salter手術、Triple osteotomy など) | 6件 |
腱切り、腱移行、腱延長術 | 6件 |
大腿骨骨切り術(ペルテス、DDH、CP) | 3件 |
下腿骨切り術、足部骨切り術 | 3件 |
先天性および麻痺性内反足手術 | 7件 |
筋性斜頸 | 2件 |
骨内異物除去術 | 3件 |
大腿骨ピンニング(大腿骨頭すべり症) | 3件 |
骨折手術(経皮的ピンニングを含む) | 10件 |
脚延長術 | 1件 |
偽関節手術 | 1件 |
骨腫瘍切除術 | 7件 |
多合趾症手術 | 2件 |
その他 | 9件 |
合計 | 95件 |
3)化学療法症例?数
なし
4)放射線療法例?数
なし
5)がん治療
行っていない
4.2023年の目標?事業計画等
子ども医療センターで、月曜日午前、午後と木曜日午前中に一般外来診療を行っています。また、木曜午後に、滝と小沼が「ギプス巻き外来」をおこない、主に先天性内反足のギプス巻き外来を行なっております。
また、月1回の「二分脊椎外来」も子ども医療センター各科と連携して行っております。また、難度の高い脊柱側弯手術を安全かつより良い変形矯正が得られるようにおこなって高度医療機関としての役目を果たすこととこれまで同様に先天性内反足や麻痺性股関節脱臼、麻痺性足部疾患など専門性の高い疾患の治療を継続していくことを目標に考えています。小児骨軟部腫瘍の患者さんに対し、小児科腫瘍班と栃木県立がんセンター整形外科との病診連携を図っており、また血友病患者さんに対しても、小児科腫瘍班と連携し関節症の早期発見のために尽くしております。
今後の展望についてですが、当科は週2日間、小児リハビリテーション前外来(月曜日午前と木曜日午後)と週2日間の小児リハビリテーションコンサルトを兼務していること、手術日が週一回の金曜日終日と月一回の水曜日午前中(27年10月より運営開始)、月一回の第4水曜日午前中(30年10月より運営開始)と手術日が増えたこと、整形外科学教室の学生指導を一緒に分担していることなどから毎日、多忙を極めております。しかしながら、紹介手術患者は群馬県や福島県などの近隣県からも増えてきております。外来患者に関しては、全国区であります。このようななかで、当科がおかれております前述した厳しい労働環境のなかで、それでも患者と保護者のかたの高度な医療内容の需要に対して、可能な限り応えられるように努力を継続してまいります。