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健診センター【アニュアルレポート】

1.スタッフ(2024年4月1日現在)

部長 (教授) 宮下  洋(循環器内科兼務)
医員 (病院講師) 三枝 充代(消化器内科兼務)
(助教) 島田 瑞穂(学生生活支援センター兼務)
(病院助教) 光田 清佳(呼吸器外科兼務)
(病院助教) 髙橋 治夫(消化器内科兼務)
非常勤医員 4名
看護師 8名(内 パート看護師4名)
保健師 2名(内 パート保健師1名)
管理栄養士 2名
臨床検査技師 4名
超音波技師 4名(兼任)
診療放射線技師 26名(専任1名;交代25名)
事務職員 9名(内業務委託8名)

2.健診センターの特徴

総合健診(一日ドック)の専門施設として、以下の理念と5つの運営方針(2022年4月改訂)の下、健診業務を行っている:

理念:受診者満足を最優先し、健診?保健指導の質的向上の持続的努力をとおして人類全体の健康増進に貢献します。

運営方針:

  1. 安全?快適な環境と高品質な健診サービスを提供します。
  2. 自治医科大学附属病院と連携した精度の高い診断とフォローアップの充実に努めます。
  3. 科学的根拠に基づく疾患予防と健康増進を目指します。
  4. 高い知識と技術レベルの健診医療人材を育成します。
  5. 健診?予防医学研究による社会貢献に取り組みます。

A.附属病院の診療とは独立した施設?検査設備による健診サービスの提供

附属病院とは独立した建物(自治医科大学1号館)内にあり、落ち着いた雰囲気の中で健診を受けることができる総合健診(日帰り人間ドック)の専門施設である。健診内容は日本総合健診医学会および日本人間ドック学会の基準に準拠し、特定健康診査項目、労働安全衛生法による定期健診の必要項目およびがん検診に関する項目がすべて含まれ、加えて希望に応じたオプション検査を行っている。多様な受診者の要望に対応できるよう、オプション検査を積極的に増やしていく方針を継続している。本年4月からは検体検査オプションとして肝線維化マーカー(M2BPGi)、7月からは血液のメタボローム解析による心血管リスク検査(MyNightingale)の運用を開始できた。また、10月からは後期高齢者のフレイル問診によるフレイル度の評価を開始し、さらに12月からはデジタル聴診装置を導入して精密な心音診断を中心とする内科診察の充実を実現した。

2020年からのCOVID-19のパンデミックは本年5月からの感染症法第5類感染症移行により沈静化したかに見えたが、その後も感染拡大を反復しており、厳格な標準予防策?受診条件の設定、機械換気(排気)設備増強?増設を含む換気効率の最大化、密を避ける受付時間の分散化に加え、2021年度整備した中央空調への高出力UV-C照射の運用を継続し、安心?安全な受診環境維持の取り組みを継続している。

B.附属病院の関連各専門診療科の協力による質の高い健診サービス

専門的な健診内容は、附属病院の産科婦人科(婦人科検診)、眼科(眼底画像読影)、循環器内科(心電図判読)、臨床検査部(腹部及び乳腺超音波判読)、病理診断部(子宮頸部および喀痰細胞診診断)、乳腺科(マンモグラフィー読影)、中央放射線部(PET-CT読影)の各専門診療科の協力により運営している。また、胸部X線検査、上部消化管X線検査、頭?胸?腹部CT検査、超音波検査は読影専門医を含め3重~5重の読影を行って診断?判定の精度向上に努めている。

平成22(2010)年度に導入された上部消化管内視鏡検査は苦痛が少ない経鼻内視鏡を基本とし、本学消化器内科の協力のもと、内視鏡専門医によるダブルチェック体制で運用され、上部消化管検診の精度向上に寄与している。検査件数は増加を続け(表1)、1日の検査実施枠を22件まで増やして対応している。所属の消化器内科医は、内視鏡検査の実施の他、消化器関連の上部消化管X線検査読影や腹部CTおよび超音波検査の読影?判定の点検作業の精度向上にも貢献している。

平成24(2012)年度導入の動脈硬化?心血管老化診断検査オプションは、2種類の血圧脈波検査を組み合わせて、メタボリックシンドロームや高血圧の血管硬化?血管老化への影響や心血管病のリスクを評価し、脈波解析を専門とする循環器内科医による個別の結果説明と生活習慣改善アドバイスをつけて結果報告を行い、要望があれば追加の面談より対応している。

PET-CTでは、結果報告とともに附属病院中央放射線部の協力によりPET-CT画像データ(CD-R)を受診者に提供し、検査結果の有効活用と受診者サービス向上に役立てている。

C.コンピュータシステムの高度利用による迅速?的確な健診の運用?管理

健診関連学会標準の判定基準を基本としながらも、履歴情報や詳細な問診による病歴情報を考慮した健診専門医の個別判断をも判定ロジックに組み込んだ健診結果判定エンジンは、2018年度の健診システム更新後さらに洗練され、迅速かつ精度の高い健診結果の自動判定を可能にしている。結果判定のみならず、問診による病歴、生活習慣も受診当日の結果説明までにデータとして取り込み、これらの情報を総合的に考慮した上で、標準化された指導メッセージを導出し、健診当日の医師による結果説明を支援するとともに、メタボ対策を中心とした健康指導に役立てている。この健診システムは、膨大な健診?保健指導?会計データ等の保存?管理を容易にし、特にこの12年の経過の中で、紙媒体を中心とした非効率な業務を無駄の少ない、また情報共有?活用が容易なペーパーレス業務に移行させることに寄与してきた。2018年の健診システム更新では網羅的なデータ移行を実施し、過去30年にわたる健診データも一元的にこのシステム内に保管されている。これを必要に応じて随時参照?比較することができるため、受診時の1断面のデータのみならず、個々の受診者の経過や病歴?精査歴を考慮した特異度の高い判定を可能にしている。

さらに、この健診システム更新では附属病院情報システムとネットワーク接続され、電子カルテと同一端末上で健診システムが稼働する環境が実現し、健診と病院診療間の連携?情報共有が可能になった。これにより、診療経過や病院での検査結果を考慮した結果判定が飛躍的に容易になり、無駄な精査や再検査の紹介を減らすことにも繋がっている。

本年度は、本院電子カルテ(JUMP)システムの全面的更新に伴い、そのシステム上で稼働している健診システムのサーバおよび全端末を一新することができた。また、次年度からの特定健診?保健指導第4期への移行に備え準備作業を進めた。

平成22(2010)年度までに整備されたX線検査を中心とした検査画像デジタル化とフィルムレス運用(PACSシステム)では、それ以前の過去フィルム画像もデジタイザで取り込み、システムのモニター上での比較参照を可能にしている。これにより医師の読影作業効率および精度向上、フィルム保管場所の問題解決、さらには、紹介状添付画像の充実(必要に応じてCD-Rによる画像データの提供)が実現され、紹介先医療機関における精査診療への円滑な情報提供にも役立っている。平成24(2012)年度にオンライン化した眼底画像管理、平成25(2013)年度にPACSシステムに統合された超音波画像管理等により、すべての健診画像診断のデジタル化?オンライン化が実現できた。さらに2018年度には、胸部X線画像に関して、AI(人工知能)に基づく画像処理(骨陰影消去?経時変化の差分画像の自動作成)を導入して読影精度向上の努力を継続してきたが、近年進歩が著しい画像診断AIを本年度予算により次年度(2024年4月)~の運用に向け遠隔サービスとして導入する準備を進めることができた。

一部のX線画像は読影精度向上のために外部専門医に委託しているが、これもPACSシステムに統合されており、2018年度のシステム更新に併せて導入されたRISによりさらに画像読影管理の自動化が進み、業務負荷の軽減に役立っている。また、昨年度導入されたX線CTの線量管理システムにより、同検査の被ばく線量最小化の取り組みを継続し、受診者利益の向上を図っている。

これらコンピュータシステムによるデータ?情報管理は履歴データや病歴情報に迅速なアクセスを可能とし、読影における異常検出感度を高めると同時に特異度の高い判断により無駄な精査紹介を減らす効果をもたらしている。また、ビッグデータ解析?AI開発の研究データとしても利活用が期待され、関連の研究も継続している。

D.保健指導

特定健康診査の全項目を含む総合健診結果により、特定保健指導の「動機づけ支援」、「積極的支援」に階層化された受診者に対し、個別契約に基づいた特定保健指導を行っている。平成21(2009)年度からは当センターの健診受診者以外の集合契約に基づいた特定保健指導の要請にも対応している。保健指導は、特定保健指導に関する研修を修了した保健師と管理栄養士が担当している。

平成20~22(2008~2010)年度の当センターのリピータ受診者のうち肥満の基準を満たす 3410名の健診データ解析から、肥満とメタボリックシンドロームの経過を解析した結果、特定保健指導を受けたことにより(指導を受けない場合に比べて)2倍以上の確率で肥満?メタボの改善が期待できることが示されている。

また、管理栄養士が主導する「食事生活相談」にも力をいれており、特定保健指導の対象外の受診者や要望に応えるよう取り組みを継続している。

E.健診システムと保健指導システムの連携

当施設の特定保健指導は、契約団体(保険者)?利用者の要望を重視し、制度開始当初から健診当日の初回指導に対応してきたが、2018年度、特定健康診査?特定保健指導保健指導の制度第3期を迎え、政策的にもより高い保健指導実施率と改善効果が求められる時代となったのを受け、この制度改定に合わせて更新し業務再構築を行った健診システムは保健指導システムを内蔵し、迅速な検査と健診コンピュータシステムによる自動判定を生かして、健診受診当日に健診結果が揃うと同時に、複雑な個別契約での保健指導利用資格条件による該当者の自動抽出し、初回指導まで支援できる機能を実装し、健診当日の漏れのない保健指導介入を可能にしている。これを活用してさらに有効性の高い保健指導を実践すべく努力を継続している。

F.施設認定?資格

認定施設

  • 日本総合健診医学会優良総合健診施設
  • 日本総合健診医学会認定 人間ドック健診専門医研修施設
  • 日本病院学会会員健診施設

学会等認定医:

人間ドック健診指導医 宮下  洋
人間ドック健診専門医 宮下  洋 他4名
人間ドック学会 認定医 島田 瑞穂
日本内科学会 総合内科専門医 島田 瑞穂
日本内科学会 認定内科医 宮下  洋 他2名
日本消化器病学会 専門医 三枝 充代
日本消化器内視鏡学会 専門医 三枝 充代
検診マンモグラフィー読影医師 三枝 充代
日本外科学会 外科専門医 光田 清佳
日本呼吸器外科学会 呼吸器外科専門医 光田 清佳
日本呼吸器内視鏡学会 気管支鏡専門医 光田 清佳
日本旅行医学会 旅行医学認定医 島田 瑞穂
日本医師会 認定産業医 三枝 充代 他1名

3.実績?クリニカルインディケーター

総合健診は一日36名を上限として実施している。企業や健保組合等の団体との契約によるものが中心になっている。反復受診される受診者が約90%を占めていることから、受診者に満足いただいていることが窺われる。受診者には本学教職員634名が含まれ、特定保健指導と併せて、本学の健康管理?福利厚生施設としての役割も担っている。

基本的健診項目は、マークシートおよび自由記載を含む問診票による症状?病歴?生活習慣等に関する詳細な問診、身体計測(身長、体重、腹囲、BMI)、視力、聴力、眼圧、眼底、血圧測定、尿検査、血液検査、呼吸機能、心電図、胸部X線検査、上部消化管X線検査、便潜血反応、腹部超音波検査などである。オプション検査としては、PET-CT検査(後日施行)、CT検査(頭部-副鼻腔を含む、胸部-甲状腺を含む、腹部-骨盤腔を含む)、胃抗体検査(ピロリ菌抗体、ペプシノーゲン検査、ABC分類判定)、腫瘍マーカー、婦人科検診(内診、子宮頸部細胞診)、乳房検診(マンモグラフィー検査、乳腺超音波検査)、骨密度検査(DEXA法)、動脈硬化?心血管老化診断検査に加え、2018年からアミノインデックス(AIRS)、2020年から心臓スクリーニング(NT-proBNP)と甲状腺機能検査(TSH+FT4)、2022年からLOXインデックス?アレルゲンスクリーニング(View39)、さらに本年度追加した肝線維化マーカー(M2BPGi)および心血管リスク検査(MyNightingale)を実施している。AIRSは従来の早期がんのリスクスクリーニング(AICS)に糖尿病?心血管病発症リスク評価(AILS)が追加されたものだが、2020年からAILSの評価に認知機能低下リスクが加わり、がんの早期発見のきっかっけのみならず、様々な生活習慣改善のための個別化された情報として役立っている。

近年メタボリックシンドロームが問題とされる中、2012年度にオプション検査として開始した動脈硬化?心血管老化診断検査は、2種類の血圧脈波検査装置により、脈波速度(PWV)、足首上腕血圧比(ABI)、橈骨動脈血圧増大指数(AI)、推定中心血圧、心血管老化度の評価と、健診結果を総合的に考慮した個別の健康アドバイスの提供を特長とし、導入後累計で8100件を超えて順調に運用を継続している。またCTは通常の検査に比べ撮影範囲を拡げて、頭部では副鼻腔全体、胸部では甲状腺全体、腹部では基本検査の腹部超音波検査で描出が困難な骨盤腔全体を撮影範囲に含めて評価の対象とし、全身スクリーニングを可能にしている。さらに腹部CTでは、内臓脂肪面積の計測も追加料金なしで全例施行してそのレポートを受診者に送付し、メタボリックシンドロームの評価?改善に役立てている。

表1に主要オプション検査の実施件数推移を示した。dafa888手机登录_大发dafa888-官网5(2023)年1月から12月まで(健診実日数 245日)の年間受診者延人数は、健診?保健指導含めた受付件数ベースで7216件(一日平均30件)、内 総合健診受診者総数は6914件で、前年比101%、コロナ禍前の2018~2019年平均比では各98、97%となり、前年よりは微増した(表1)。これは、過去10年平均との比較では各94、95%である。オプション検査件数も全体的として前年比約97%と減少した。以前から検査実施枠の不足が問題となっていた上部消化管内視鏡については、内視鏡実施枠を昨年までに22件/日まで拡大した効果がみられ、検査実績は前年比106%と増加した(表1)。

2020年からのCOVID-19感染拡大?緊急事態宣言に伴う健診休止の影響による運営業績低下の回復を目指し、コロナ化の中でも安全安心な健診受診環境を担保すべく、同年内に密を避ける受付時間の分散化、中央空調の換気効率(外気導入比率)の最大化や換気能力増強、受診条件?標準予防策の厳格化、さらに2021年までに追加で実現した排気設備増強、中央空調内UV-C照射等の感染防御対策を継続し、施設内クラスター発生は免れている。しかし2020年の健診の休止における予約時期の不均等化の改善がいまだ不完全なのに加え、COVID-19感染拡大 第9~10波による感染者の増加による受診当日のキャンセル増加も影響して、受診者数の回復を阻んでいると考えられる。

検査機器?施設?設備の老朽化による健診施設としての魅力低下の影響も否定できないと考えられ、健診センタータスクフォース(TF)会議でも検討課題としていたところであるが、さらなる受診者満足の向上を伴う収益効率の改善を目指した健診運営全体の抜本的運営改革努力を継続している。

平成19(2007)年度からのPET-CT検査、平成20(2008)年度に導入されたデジタルマンモグラフィー、平成21(2009)年度に多列化されたCT、そして平成22(2010)年度導入の上部消化管経鼻内視鏡、さらに平成30(2018)年2月から開始したアミノインデックス検査(AICS)等は健診の精度向上に寄与し、がんの早期発見?診断精度向上に貢献をしている。この1年間の健診およびその後の精査で発見されたがんは44例(2024年7月までの精査結果報告例で疑い例も含む)で、その内訳を表2に示した。本年は前立腺および食道がんの発見の増加が目立つ結果となっている。

表1 受診者数と放射線画像関係および内視鏡?血圧脈波オプション検査施行実績推移(1~12月集計)

2018 2019 2020 2021 2022 2023 対2022年比
総受診者(受付件数) 7,476 7,296 6,481 7,517 7,170 7,216 100.6%
総合健診受診者総数1) 7,107 7,000 6,022 7,042 6,757 6,813 100.8%
PET-CT 61 58 33 41 47 47 100.0%
頭部CT 1,052 1,034 846 948 864 738 85.4%
胸部CT 880 859 709 838 752 669 89.0%
腹部CT 968 958 774 897 793 702 88.5%
CT部位総件数 2,900 2,851 2,329 2,683 2,409 2,109 87.5%
マンモグラフィー 1,341 1,284 1,154 1,384 1,365 1,371 100.4%
骨密度(DEXA) 446 412 336 403 377 387 102.7%
上部消化管内視鏡 2,702 2,803 2,611 3,394 3,319 3,518 106.0%
血圧脈波検査 874 722 590 773 512 468 91.4%

1)総合健診受診者総数は総受診者数から人間ドック受診日とは別に行うPET検査や後日検査、特定保健指導を除いた数

表2 健診で発見されたがんの症例数(1月~12月集計)

がんの種類 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年1)
乳癌 5 3 4 2 12 6
肺癌 12 7 5 4 1 3
食道癌 2 2 2 3 5
胃癌 4 8 1 3 6 2
十二指腸乳頭部腫瘍
大腸癌 8 5 3 4 6 4
直腸癌 3 2 1
膵癌 1 1 2 2
肝癌 1 1 1 1
胆嚢癌 1
腎癌 3 4 2 1
腎盂?尿管腫瘍 1 1
膀胱癌 1 1 4 1
前立腺癌 14 12 11 9 5 17
子宮癌 1 1 2
悪性リンパ腫/
MALTリンパ腫
1 1 1 1
多発性骨髄腫
慢性骨髄性白血病 1 1 1 3 1
間質腫瘍 1 1
転移性肺癌
卵巣癌 1 2 2 1 1 2
甲状腺癌 1
盲腸癌 1
直腸カルチノイド 1
神経原性腫瘍 1
前縦隔腫瘍 1 1
後腹膜腫瘍 1
57 52 33 34 49 44

1)2024年4月までの精査結果報告例の集計で疑い例も含む

表3にはメタボリックシンドロームの判定を中心とした受診者の特徴と特定保健指導実績の年次推移を示した。特定保健指導実績は人数ベースで前年比96%、件数比では90%と前述の受診者総数の減少以上に減少傾向で、保健指導契約対象者数が過去10年平均比77%と前述の受診者数減少より減少が大きかったことが影響した可能性がある。次年度からの第4期の制度改正に向け、より結果の出せる魅力ある指導を確立し発信していく必要性を示唆していると考えられる。

表3 受診者の特徴とメタボ判定および保健指導実績推移(1月~12月集計)

男性 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年

総合健診受診者総数1) 3909 3889 3363 3889 3732 3706
年齢(平均 標準偏差) 55.8
±10.6
56.0
±10.9
56.1
±10.9
56.3
±11.1
56.7
±11.5
57.2
±11.6



メタボ判定対象者数 3659 3616 3146 3628 3469 3454
判定 メタボ該当 1109 1091 968 1061 1017 1005
予備軍該当 820 816 700 778 699 650
階層化 積極支援 554 493 443 438 385 606
動機づけ支援 416 436 371 395 375 330








指導契約対象者数 1765 1725 1374 1119 1079 1139
実施実績 積極支援 36 70 66 60 50 43
動機づけ支援 27 31 31 36 37 28
63 101 97 96 87 71
(総計)2) 112 477 405 451 305 260
女性 2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年

総合健診受診者総数1) 3198 3111 2659 3153 3025 3107
年齢(平均 標準偏差) 54.0
±10.0
54.4
±10.4
54.3
±10.3
54.4
±10.6
55.3
±10.9
55.6
±11.0



メタボ判定対象者数 2946 2812 2400 2818 2664 2730
判定 メタボ該当 259 243 192 240 229 238
予備軍該当 207 225 190 183 179 174
階層化 積極支援 82 84 68 84 77 73
動機づけ支援 199 197 187 186 173 194








指導契約対象者数 1376 1286 1145 1264 1115 1164
実施
実績
積極支援 6 18 15 14 17 15
動機づけ支援 21 33 38 42 27 40
27 51 53 56 44 55
(総計)2) 29 167 183 176 148 146
2018年 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年

総合健診受診者総数1) 7107 7000 6022 7042 6757 6813
年齢(平均 標準偏差) 55.0
±10.4
55.3
±10.7
55.3
±10.7
55.5
±11.0
56.1
±11.3
56.5
±11.4



メタボ判定対象者数 6605 6428 5546 6446 6133 6184
判定 メタボ該当 1368 1334 1160 1301 1246 1243
予備軍該当 1027 1041 890 961 878 824
階層化 積極支援 636 577 511 522 462 430
動機づけ支援 615 633 558 581 548 524








指導契約対象者数 3141 3011 2519 2383 2194 2303
実施
実績
積極支援 42 88 81 74 67 58
動機づけ支援 48 64 69 78 64 68
90 152 150 152 131 126
(総計)2) 141 644 588 627 453 406

(表3 脚注)

1)総合健診受診者総数は総受診者数から人間ドック受診日とは別に行うPET検査や後日追加検査、特定保健指導を除いた数
2)特定保健指導の総指導件数で、初回指導+中間評価?指導+最終評価?指導件数の合計;利用券による指導(保健指導のみの利用)の件数も含む

4.2024年の目標?事業計画等

急性期医療を中心とした医療が少子高齢化を背景に経済的には破綻に瀕している状況下、医療政策?医療システムにおける健診?予防医療の重要性が益々高まっている。このような社会情勢や多様化する受診者ニーズへ対応すべく、当健診センターは「受診者満足を最優先し、健診?保健指導の質的向上をとおして人類全体の健康増進に貢献する」ことを基本理念とし、健診内容の充実と品質向上努力を継続してきたが、人工知能AIによる社会変革、ゲノム医療の一般化等の急速なテクノロジーの発展に伴い破壊的といえるような改革が求められる時代となっている。この時代の変化への対応を無視しては稼働拡大?運営改革を考えることはできない。業績的には、本年も2020年から反復しているCOVID-19感染拡大の影響が無視できない状況であるが、そればかりでなく附属病院全体として健診運営に対するリソース配分が著しく不足したまま経過してきた結果、多くの医療機器が老朽化しており健診センターの魅力の低下が懸念される。時代の変化に即応しながら、受診者満足を持続的に高め、健診の魅力?価値の向上を伴う運営内容の異次元変革が必要と考えている。

A.健診の課題と計画

1)COVID-19の影響に対する対応

COVID-19感染の影響による受診者減少への対策として、感染対策により受診者にとって安心安全な健診環境を担保することが重要と考え、これまでの感染対策最大化の取り組みで確立された標準予防策や換気効率の最適化、再循環式中央空調の空調ダクト内紫外線(UV-C)照射による浮遊ウイルス不活化等を継続する。しかし2020年の健診休止や感染拡大期の健診延期の影響による受診者数分布の偏りの等の問題が受診者増加の阻害要因ともなっており、これに対する改善対策として、さらに健診内容の充実(後述)や積極的広報?情報提供、契約先の積極的増加、メールやWebの利活用を含む予約業務の改革推進を継続する。

2)健診運営改革の推進

超音波検査体制および婦人科検診の婦人科医師協力体制の不足が10年来の解決できていない運営拡大の阻害要因である。これらの改善は本院の医療人員リソースの調整に依存しており、その調整努力を継続する。本改革の最終目標は、これまで1日平均 約30人の受診者を45名まで増やすことを目標としてきたが、これら医療人員体制の問題に加え、魅力の低下した検査機器老朽化や施設のキャパシティーの制限等を考慮すると現在の受診枠36に平均を近づけるのが限度と考えざるを得ない。さらに稼働拡大するには、施設リニューアルあるいは移転と人的?物的医療リソースの確保?更新が必須である。また、品質?魅力の向上により受診者満足向上を実現し、それが翌年以降の受診促進としてfeedbackされる過程が必要であり、単年度での達成は困難である。

健診センター内部的には限られた人員リソース下での運営改革を推進するため、業務精度?品質を犠牲にすることなく効率を高め、限られた人員体制でも運営拡大を可能にする、業務のデジタルトランスフォーメーション(DX)が需要と考え、健診システムと業務ネットワークの高度利活用に加え、AIの健診業務への導入も含めてデジタル化による業務再構築を推進する。

3)健診内容の充実

団塊世代の高齢化が急速に進む2025年問題を鑑み、健診受診者も高齢化、健診経験が長く裕福な高齢受診者の増加が見込まれる中、より高度の健診内容や多様なオプション検査の要望に対応していく必要性が高まると予想されることから、健診運営全体の改革の中で、より幅広いオプション検査導入や、さらにはプレミアムドック?医療ツーリズムにも対応できる体制を目指してきたが、その実現には、上記の施設?設備のリニューアルを含む運営改革と魅力の回復が必須である。2024年は本院のMRI?CT等を含む高度な検査機器リソースの健診利用によるオプション検査の実現を求めて病院執行部や関係部門と引き続き調整していく。

また、個々の受診者にとって受ける意味が大きいオプション検査を的確に選択できるような個別化された情報提供の仕組みや、要精再検の未受検受診者に対する受検勧奨?フォローアップのWeb運用が必要と考えられ、それを自動化するAI?RPA等の導入の具体的準備を推進する。

多くのオプション検査により医師の判定?診断の作業も複雑化する中、医師業務をサポートし、ヒューマンエラーを防止するシステムやツールが必要であり、RPA?AI等の導入検討や各種チェック作業の内製自動化ツールの改良を推進する。

B.保健指導の課題と計画

特定保健指導契約対象者が全受診者数の減少よりも目立つ状況があり、指導実績減少の要因となっている可能性がある。契約先からの特定保健指導の評価の低下が懸念され、指導内容の見直しによる指導効果の向上?魅力の向上が必要と考え、さらに効率よく改善効果が出せる保健指導による利用者満足向上を目指した保健指導改革を準備?遂行していく。数値目標として、2023年には保健指導実績20%程度の増加と指導実施率50%以上を目指す。

C.医学研究の課題と計画

自治医科大学附属の健診施設とし医学的貢献は重要な課題と考え、理念?運営方針にも継続的に掲げている。30年にわたり蓄積されている健診データを対象とした臨床疫学的研究(「既存健診データを活用した疾病予防や健康管理に関する探索的観察研究」臨大19変031(疫10-17、疫13-99、臨大16一変070変更))をさらに推進していくとともに学内外の共同研も積極的に取り組んでいく。これまでに開始もしくは計画を進めている下記の複数の研究テーマを継続し、その成果の発表をとおして医学的貢献に繋げていく計画である:

健診センター内の研究:

  1. 健診医の診断精度向上のためのデジタルツール開発とその効果の検証
  2. 健診医業務効率化?精度向上のためのAI?RPA応用の調査と開発研究
  3. ハードウェア?システムベンダーに依存しない健診データの保管?管理法の検討とその構築
  4. 血圧脈波指標?中心血圧の健診?予防医学的意義の検討
  5. 特定保健指導効果の科学的評価と指導効率の高い指導方法の検討
  6. 健診でのがん発見に関する各検査の感度および特異度評価とその最大化の検討
  7. 胸部X線画像AIの肺癌検出精度改善効果の評価
  8. 健診CT画像の応用解析:内臓脂肪および動脈硬化の評価
  9. 健診受診者の受付?検査順制御による健診業務?検査業務の最大化アルゴリズムの検討
  10. ウェアラブルセンサー?非接触センシング等による健診受診者バイタルの連続モニター法の開発研究

学内外共同研究:

  1. 心血管信号波形から正確な血圧を連続推定?モニターするAIの開発研究(Renesas社との産学共同研究)
  2. 健診画像の読影を支援するAIの開発研究(本学眼科との共同研究;2024年度SIP3研究)
  3. 健診受診者の心電図データによる心電図AI開発研究(本学DSC/循環器内科との共同研究;2024年度SIP3研究)
  4. 新規健診内視鏡の精度検証(本学消化器内科との共同研究)
  5. 健診残検体を利用した健常者のテロメア長基準の作成研究(本学呼吸器内科との共同研究)
  6. 健診受診者におけるデジタル聴診による心雑音検出感度の検証(本学循環器内科/Edwars Scientific社との産学共同研究)
  7. 高齢健診受診者のフレイル度評価に関する研究(本学神経内科との共同研究)
  8. 空調ダクト内UV-C照射による浮遊ウイルス不活化能効果検証(ハリマビステムとの産学共同研究)

特に上記(2)(3)は内閣府の次年度SIP3研究に含まれることになり、健診データのマルチモーダルAI(LMM)を開発して当健診センターに実装する計画で、飛躍的DXに繋がることを期待している。健診センターにおけるこれらの研究活動は健診業務に組み込んで運用され、その成果は医学?学術的貢献のみならず健診業務の改善にも直接寄与する。さらに健診医の資質や健診センター業務価値の向上による健診医等の人材育成、健診業務へのフィードバックによる健診の精度?品質向上、その結果として受診者満足の向上にも繋がると考え積極的に推進していく。その成果の発信をとおして人類全体の健康増進に寄与することを最終目的としている。

5.過去実績