消化器センター外科部門(消化器外科)【アニュアルレポート】
1.スタッフ(2023年4月1日現在)
科長 | (教授) | 細谷 好則 |
---|---|---|
副科長 | (教授) | 堀江 久永 |
外来医長 | (助教) | 田口 昌延 |
病棟医長 | (5A)(助教) | 東條 峰之 |
(5B)(病院助教) | 青木 裕一 | |
医員 | (教授) | 佐田 尚宏(主任教授) |
北山 丈二 | ||
味村 俊樹 | ||
川平 洋 | ||
山口 博紀 | ||
佐久間康成 | ||
清水 敦 | ||
(准教授) | 笹沼 英紀 | |
鯉沼 広治 | ||
遠藤 和洋 | ||
(学内准教授) | 菱川 修司 | |
齋藤 心 | ||
兼田 裕司 | ||
倉科憲太郎 | ||
(講師) | 宮戸 英世 | |
三木 厚 | ||
(学内講師) | 春田 英律 | |
井上 賢之 | ||
(病院講師) | 吉田 淳 | |
(助教) | 伊藤 誉 | |
笠原 尚哉 | ||
森嶋 計 | ||
田原真紀子 | ||
目黒 由行 | ||
金丸 理人 | ||
津久井秀則 | ||
熊谷 祐子 | ||
(病院助教) | 21名 | |
シニアレジデント | 12名 | |
(大学院) | 5名 |
2.診療科の特徴
当科の2022年入院患者数は2040名(臨床腫瘍科症例を含む。2021年2011名29名増)で、年間手術件数は1197件(2021年 1096件101件増)であった。2008年以降腹腔鏡下胆嚢摘出術、ソケイヘルニア手術等の良性疾患手術を関連施設へ紹介する方針は継続している。
一方、重篤な併存症を有する患者の悪性腫瘍手術や高難度鏡視下手術(肥満手術や縦隔鏡手術、経肛門的腸間膜全切除、肝葉切除、区域切除など)を行っており、増加した手術枠を有効活用している。COVID-19蔓延時に診療体制を縮小する必要があった際には、腹腔鏡下スリーブ状胃切除術、人工肛門閉鎖術など待機可能と考えられる手術は延期することで対応した。手術総数は2021年と比べ微増した。2022年の手術合併症率は5.2%(2021年3.6%)と減少した。また入院中の再手術症例は34件、2.8%(2021年33件3.0%)と微増した。
入院死亡数は112名、そのうち86名は癌の進行による癌死で、12名は急性?慢性疾患増悪に伴うものであった。手術後死亡例は14例、1.2%(2021年11例、1.0%)で昨年と同程度であった。 2008年以降の15年間で予定手術における不測の死亡例は8例である。死亡した手術症例の多くは、高齢者もしくは重症併存疾患を合併した症例であった。これらハイリスク症例に対する手術では、緊急手術であっても可能な限り他診療科と連携しながら周術期管理を行っている。
消化器外科は、消化器センター外科として食道?胃?十二指腸?小腸?大腸?肝臓?胆道?膵臓などあらゆる消化器疾患に対し、消化器センター内科(消化器?肝臓内科)と協力して診療にあたっている。悪性腫瘍治療は、手術に加えて化学療法や放射線療法は、臨床腫瘍科?放射線科とCancer Board Conferenceで協議し、エビデンスに基づいた診療を行っている。移植外科部門の肝移植のドナー手術や救急部の腹部外傷手術のサポートを行っている。
診療内容
- 食道:逆流性食道炎(開腹あるいは腹腔鏡下修復術)、アカラシア(腹腔鏡手術)、良性食道腫瘍(開胸あるいは胸腔鏡下摘出)、食道癌(胸腔鏡?腹腔鏡手術による低侵襲根治術、開胸困難例に対する縦隔鏡下手術)、進行食道癌(化学療法、放射線療法、手術療法の集学的治療)、高度進行食道癌(ステント挿入などによるQOLの向上)。
- 胃?十二指腸:潰瘍(出血?穿孔?狭窄に対し手術24時間対応し、可能であれば腹腔鏡手術)、早期胃癌(腹腔鏡下手術、幽門や神経の機能温存手術)、進行胃癌(標準-拡大郭清根治手術、化学療法)、胃粘膜下腫瘍(胃内手術、腹腔鏡手術、内視鏡合同手術)、高度肥満症(腹腔鏡下sleeve状胃切除術)、胃癌腹膜播種(腹腔内化学療法(先進医療))。
- 小腸?大腸?肛門:大腸癌(EMRなどの内視鏡手術、腹腔鏡下手術、開腹手術)、直腸癌(腹腔鏡下手術、ロボット支援下手術:自律神経温存手術、J型結腸嚢肛門吻合による括約筋温存術、経肛門的腸間膜全切除術)、潰瘍性大腸炎(ステロイド注腸?動注療法、腹腔鏡補助下(HALS)大腸全摘術+J型回腸嚢肛門吻合術)、クローン病(手術療法:Kono-S吻合)、直腸脱(腹腔鏡下直腸後方固定術)、痔核?痔瘻など肛門疾患及び排便機能障害(仙骨神経刺激療法など)、穿孔?イレウス(緊急手術)。
- 肝臓:肝癌(術中超音波検査を活用した解剖学的な肝切除、TAE、PEIT、RFA)、転移性肝癌(特に大腸癌の肝転移に対する肝切除と抗癌剤治療)、胆管細胞癌(肝切除、放射線治療)、肝の可及的温存と局所の根治性を両立した肝切除術、腹腔鏡下肝部分切除?亜区域切除術?葉切除。
- 胆嚢?胆管:胆嚢結石症(原則として腹腔鏡下手術)、胆管結石(内視鏡?腹腔鏡?開腹手術)、胆嚢?胆管癌(肝切除、胆管切除、幽門輪温存膵頭十二指腸切除)、膵胆管合流異常(胆管切除術)、肝門部胆管癌(肝動脈、門脈合併肝切除や放射線療法を組み合わせた治療)
- 膵臓:重症急性膵炎(消化器肝臓内科?集中治療部と協力した集学的治療)、慢性膵炎?膵仮性嚢胞(有症状例に対する機能温存手術)、膵癌(放射線治療や化学療法を用いた集学的治療、門脈合併切除を伴う幽門輪温存膵頭十二指腸切除、膵体尾部切除、腹腔動脈合併膵体尾部切除)、膵管内乳頭腫瘍?膵内分泌腫瘍などの低悪性度腫瘍(根治性を低下させない機能温存手術、膵縮小手術、腹腔鏡下手術)。
- ヘルニア:鼡径ヘルニア(Lichtenstein法を中心としたtension-free手術)。腹壁瘢痕ヘルニア(腹腔鏡下での修復術)。
- 後腹膜腫瘍:副腎腫瘍(原則鏡視下手術)、肉腫など(根治性を低下させない機能温存手術~多臓器合併切除による拡大手術)
施設認定
日本外科学会指導医 | 佐田 尚宏 他26名 | |
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日本外科学会認定医?専門医 | 佐田 尚宏 他76名 | |
日本消化器外科学会指導医 | 佐田 尚宏 他26名 | |
日本消化器外科学会専門医 | 佐田 尚宏 他46名 | |
日本消化器病学会指導医 | 佐田 尚宏 他6名 | |
日本消化器病学会専門医 | 佐田 尚宏 他23名 | |
日本消化器内視鏡学会指導医 | 細谷 好則 他10名 | |
日本消化器内視鏡学会専門医 | 佐田 尚宏 他26名 | |
日本内視鏡外科学会技術認定医 | 佐田 尚宏 | |
細谷 好則 | ||
堀江 久永 | ||
佐久間康成 | ||
鯉沼 広治 | ||
遠藤 和洋 | ||
倉科憲太郎 | ||
春田 英律 | ||
井上 賢之 | ||
伊藤 誉 | ||
田原真紀子 | ||
佐田友 藍 | ||
巷野 佳彦 | ||
松本 志郎 | ||
直井 大志 | ||
太白 健一 | ||
太田 学 | ||
日本肝胆膵外科学会高度技能指導医 | 佐田 尚宏 | |
佐久間康成 | ||
清水 敦 | ||
日本肝胆膵外科学会高度技能専門医 | 笹沼 英紀 | |
遠藤 和洋 | ||
兼田 裕司 | ||
森嶋 計 | ||
日本大腸肛門病学会専門医?指導医 | 堀江 久永 | |
味村 俊樹 | ||
鯉沼 広治 | ||
巷野 佳彦 | ||
日本超音波医学会指導医?専門医 | 笹沼 英紀 | |
日本胆道学会指導医 | 佐田 尚宏 | |
笹沼 英紀 | ||
谷口 理丈 | ||
日本食道学会食道外科専門医 | 細谷 好則 | |
齋藤 心 | ||
春田 英律 | ||
松本 志郎 | ||
日本膵臓学会 認定指導医 | 佐田 尚宏 | |
佐久間康成 | ||
笹沼 英紀 | ||
三木 厚 | ||
兼田 裕司 | ||
日本肝臓学会専門医 | 清水 敦 | |
佐久間康成 | ||
吉田 淳 | ||
森嶋 計 | ||
日本消化管学会専門医?指導医 | 山口 博紀 | |
日本移植学会認定医 | 佐久間康成 | |
清水 敦 | ||
菱川 修司 | ||
日本臨床代謝栄養学会認定医 | 春田 英律 | |
倉科憲太郎 | ||
日本病態栄養学会病態栄養専門医 | 倉科憲太郎 | |
日本救急医学会専門医 | 伊藤 誉 | |
日本臨床腎移植学会認定医 | 佐久間康成 |
3.診療実績
1)新患患者数?再来患者数?紹介割合
外来患者総数 | 19,590人 |
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新来患者数 | 584人 |
再来患者 | 19,006人 |
紹介率 | 112.6% |
2)入院患者数(病名別)
病名 | 患者数 |
---|---|
食道癌 | 273 |
その他の食道疾患 | 8 |
胃癌 | 230 |
その他の胃疾患 | 57 |
十二指腸疾患 | 31 |
イレウス | 88 |
その他の小腸疾患 | 53 |
急性虫垂炎 | 42 |
結腸癌 | 226 |
直腸癌 | 184 |
その他の大腸疾患 | 127 |
肛門疾患 | 30 |
肝臓癌(転移性含む) | 56 |
肝移植ドナー | 0 |
その他の肝臓疾患 | 18 |
胆道癌 | 75 |
胆石症(肝内結石症?総胆管結石症を含む) | 94 |
その他の胆道疾患 | 63 |
膵癌 | 131 |
その他の膵臓疾患 | 62 |
脾臓?門脈疾患 | 3 |
ヘルニア | 43 |
その他の腹壁?腹膜?後腹膜疾患 | 62 |
腎臓疾患 | 0 |
副腎疾患 | 34 |
その他の疾患 | 50 |
合計 | 2,040 |
3-1)手術症例病名別件数
病名 | 人数 |
---|---|
食道亜全摘術(胸腔鏡補助下含む) | 28 |
その他の食道手術 | 22 |
胃全摘術(腹腔鏡下含む) | 44 |
幽門側胃切除術(腹腔鏡下含む) | 68 |
その他の胃手術 | 60 |
大網被覆術(腹腔鏡下含む) | 10 |
その他の十二指腸手術 | 10 |
癒着剥離術(腹腔鏡下含む) | 28 |
小腸部分切除術 | 38 |
その他の小腸手術 | 30 |
虫垂切除術(腹腔鏡下含む) | 24 |
結腸切除術(腹腔鏡下含む) | 139 |
直腸切除術(腹腔鏡下含む) | 67 |
直腸切断術 | 48 |
その他の結腸?直腸手術 | 106 |
肛門手術 | 18 |
肝切除術 | 53 |
その他の肝手術 | 20 |
胆管切除術 | 2 |
胆嚢摘出術(腹腔鏡下含む) | 79 |
その他の胆道系手術 | 49 |
(幽門輪温存)膵頭十二指腸切除術 | 21 |
その他の膵切除術 | 34 |
その他の膵臓手術 | 47 |
脾摘術(腹腔鏡下含む) | 2 |
腹壁?腹膜?後腹膜手術 | 44 |
ヘルニア根治術 | 29 |
腎摘出術(ドナー手術) | 0 |
腎移植術(献腎移植含む) | 0 |
副腎摘出術(鏡視下含む) | 17 |
その他の手術 | 60 |
合計 | 1,096 |
3-2)手術術式別件数?術後合併症件数
症例数 | 合併症件数 | 再手術症例数 | |
---|---|---|---|
食道亜全摘術(胸腔鏡補助下含む) | 28 | 3 | 0 |
その他の食道手術 | 22 | 2 | 1 |
胃全摘術(腹腔鏡下含む) | 44 | 8 | 1 |
幽門側胃切除術(腹腔鏡下含む) | 68 | 4 | 0 |
その他の胃手術 | 60 | 0 | 0 |
大網被覆術(腹腔鏡下含む) | 10 | 2 | 1 |
その他の十二指腸手術 | 10 | 0 | 1 |
癒着剥離術 | 28 | 2 | 1 |
小腸部分切除術 | 38 | 3 | 7 |
その他の小腸手術 | 30 | 0 | 2 |
虫垂切除術 | 24 | 1 | 1 |
結腸切除術(腹腔鏡下含む) | 139 | 8 | 7 |
直腸切除術(腹腔鏡下含む) | 67 | 3 | 3 |
直腸切断術 | 48 | 3 | 1 |
その他の結腸?直腸手術 | 106 | 6 | 5 |
肛門手術 | 18 | 1 | 0 |
肝切除術 | 53 | 4 | 1 |
その他の肝手術 | 20 | 0 | 0 |
胆管切除術 | 2 | 0 | 0 |
胆嚢摘出術(腹腔鏡下含む) | 79 | 2 | 1 |
その他の胆道系手術 | 49 | 0 | 0 |
(幽門輪温存)膵頭十二指腸切除術 | 21 | 4 | 0 |
その他の膵切除術 | 34 | 5 | 0 |
その他の膵臓手術 | 47 | 0 | 1 |
脾摘術(腹腔鏡下含む) | 2 | 0 | 0 |
腹壁?腹膜?後腹膜手術 | 44 | 0 | 0 |
ヘルニア根治術 | 29 | 1 | 0 |
腎摘出術(ドナー手術) | 0 | 0 | 0 |
腎移植術(献腎移植含む) | 0 | 0 | 0 |
副腎摘出術(鏡視下含む) | 17 | 0 | 0 |
その他の手術 | 60 | 0 | 0 |
合計 | 1,197 | 62 | 34 |
4)化学(放射線)療法症例?数(入院のみ)
疾患名 | 件数 |
---|---|
食道癌 | 160 |
胃癌 | 23 |
大腸癌 | 65 |
肝癌 | 6 |
膵癌 | 18 |
胆道癌 | 3 |
その他 | 27 |
合計 | 302 |
5)クリニカルインディケーター
(1)悪性腫瘍の疾患別?臨床進行期別治療成績
5-1食道癌(切除例2007-2013年)
Stage 0 ( 青:n=4) | 5年生存率 | 100.0% |
---|---|---|
Stage I ( 緑:n=42) | 5年生存率 | 91.7% |
Stage II ( 赤:n=62) | 5年生存率 | 74.9% |
Stage III ( 紫:n=106) | 5年生存率 | 31.0% |
Stage IV ( 水:n=20) | 5年生存率 | 13.8% |
5-2胃癌(切除1288例2007-2013年)
stage IA ( 赤:n=565) | 5年生存率 | 99.1% |
---|---|---|
stage IB ( 青:n=170) | 5年生存率 | 96.7% |
stage II ( 緑:n=122) | 5年生存率 | 83.5% |
stage IIIA ( 紫:n=117) | 5年生存率 | 52.2% |
stage IIIB ( 橙:n=139) | 5年生存率 | 39.4% |
stage IV ( 水:n=175) | 5年生存率 | 14.1% |
5-3大腸癌(切除1464例2007-2013年)
Stage 0 | ( 赤:結腸癌n=14、直腸癌n=3) |
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Stage I | ( 青:結腸癌n=244、直腸癌n=161) |
Stage II | ( 緑:結腸癌n=259、直腸癌n=156) |
Stage IIIa | ( 水:結腸癌n=172、直腸癌n=143) |
Stage IIIb | ( 紫:結腸癌n=42、直腸癌n=46) |
Stage IV | ( 黄:結腸癌n=148、直腸癌n=76) |
Stage 0 | 結腸癌100%、直腸癌100% |
---|---|
Stage I | 結腸癌99.6%、直腸癌99.2% |
Stage II | 結腸癌92.3%、直腸癌91.1% |
Stage IIIa | 結腸癌85.3%、直腸癌85.4% |
Stage IIIb | 結腸癌81.1%、直腸癌74.2% |
Stage IV | 結腸癌43.6%、直腸癌44.5% |
5-4肝癌?胆嚢癌?肝門部胆管癌
(切除196例2007-2013年)
胆嚢癌 | ( 青:n=29) | 5年生存率 | 77.2% |
---|---|---|---|
肝細胞癌 | ( 緑:n=137) | 5年生存率 | 59.8% |
肝門部胆管癌 | ( 赤:n=44) | 5年生存率 | 43.2% |
5-5下部胆管癌?乳頭部癌?膵癌?NET
(切除例2007-2013年)
NET | ( 紫:n=19) | 5年生存率 | 100.0% |
---|---|---|---|
十二指腸癌 | ( 緑:n=44) | 5年生存率 | 69.8% |
中下部胆管癌 | ( 青:n=61) | 5年生存率 | 51.9% |
膵癌 | ( 黄:n=84) | 5年生存率 | 44.1% |
(2)死亡症例?死因?剖検数?剖検率
入院死亡数 | 112人 | |
---|---|---|
手術死亡数 | 14人 | (全手術症例の1.2%) |
剖検数 | 0件 | (剖検率 0%) |
癌死(食道癌) | 19例 |
---|---|
癌死(胃癌) | 15例 |
癌死(結腸癌?直腸癌) | 20例 |
癌死(肝癌) | 5例 |
癌死(胆道癌) | 7例 |
癌死(膵癌) | 17例 |
癌死(その他、原発不明) | 3例 |
緊急手術死亡 | 12例 |
予定手術死亡 | 2例 |
慢性疾患?急性疾患死亡 | 12例 |
合計 | 112例 |
病名 | 術式 | 直接死因 |
---|---|---|
食道穿孔 | 汎発性腹膜炎手術 | 敗血症?MOF |
胃癌、腹膜播種 | 審査腹腔鏡 | 癌死 |
胃癌直腸転移 | 人工肛門造設術 | 癌死 |
糞便性イレウス | 人工肛門造設術 | 敗血症?MOF |
横行結腸癌、 腹膜播種 | 腹腔鏡下人工肛門造設術 | 癌死 |
直腸癌術後再発 | 腹腔鏡下人工肛門造設術 | 癌死 |
S状結腸軸捻転 | S状結腸切除術 汎発性腹膜炎手術 |
敗血症?MOF |
汎発性腹膜炎、結腸穿孔 | 右半結腸切除、小腸切除 | 敗血症?MOF |
下部消化管穿孔 | 右側結腸切除術 | 敗血症?MOF |
急性胆のう炎?胆嚢出血?総胆管血腫 | 開腹胆嚢摘出術?総胆管血腫除去術 | 敗血症?MOF |
腸間膜損傷、肝損傷、左腎損傷、出血性ショック | damage control surgery | 敗血症?MOF |
後腹膜膿瘍、十二指腸水平脚穿通疑い | 開腹ドレナージ術、腸瘻造設術 | 敗血症?MOF |
肝細胞癌 | 腹腔鏡下肝前区域切除、開腹止血 | 敗血症?MOF |
小腸穿孔 | 小腸部分切除、人工肛門造設術 | 敗血症?MOF |
6)主な処置?検査
上部消化管内視鏡 | 約750件 |
---|---|
下部消化管内視鏡 | 約1,000件 |
7)カンファランス症例
グループカンファランス
上部消化管:金曜17時~
下部消化管:火曜?木曜7時~
肝胆膵:水曜10時~
合併症カンファランス
不定期 月曜日18時?
抄読会?研究室会
月曜日18時~
4.2023年の目標?事業計画等
当科への入院患者数、実施する手術件数は最近10年間で大きな変化なく推移している。当院は栃木県県南医療圏であるとともに、北関東における中核病院である。このことから、高難易度手術を要する症例や重篤な併存疾患を有する症例を積極的に受け入れ、良性疾患を有する症例は関連病院に加療を依頼する現在の診療姿勢を継続する。
2022年の手術合併症率は5.2%、入院中の再手術症例は34件(2.8%)であった。多くは緊急手術後の予定された再手術であったが、定時手術の合併症に起因する再手術例も認められた。2021年は予定手術後の不測の死亡を1例、2008年?2022年の15年間で合計8例であった。当科の目標である「mortality 0、morbidity 0」を銘記し、安全かつ確実な診療を継続し、更なる治療成績の向上に努める。
働き方改革に関する検討会の提言を受け、更なる勤務時間の短縮を達成できるよう努力する。変形労働制であるジュニアレジデントは当科独自の「研鑽日」を設け、週4日の勤務はコアタイム10時間と設定して勤務している。診療の質を担保し、医療安全対策を遵守しつつ連続勤務時間制限や勤務間インターバルを確保できるよう適切な業務分担と休暇確保を行う。
当科の研修期間が短縮されて以降、当科のレジデント教育は結紮縫合講習、手術手技経験やSurgical Education on Weekdays (SEW)と題する各種セミナーを開催して、外科診療に関する教育を行っている。
若手外科医教育では本学外科専門研修プログラムを策定し、専攻医教育を行なっている。これに加えて本学卒業生の外科志望者にはカリキュラム制による外科専門研修を開始しており、専攻医と情報交換しながら適切な研修計画を策定している。外科専門医のみならずサブスペシャリティまで見据え、専攻医の指導を行うとともにキャリア形成をサポートしている。これらに加えてヘルニア勉強会や手術手技勉強会など、施設間で外科手技を均霑化するべく勉強会を開催している。今年度もCOVID-19の状況に合わせ、オンラインまたは集合型研修として開催を予定する。
2022年度は自治医大ジュニアレジデントからの消化器外科希望者は1名であった。外科を志す医師が少ない中でも研修で興味を惹かれる研修医は少なからずおり、今年度も引き続き研修医への指導を通して外科の魅力を伝えつつ、研修医の進路決定をサポートする。