着床前胚遺伝学的検査（Preimplantation Genetic Testing；以下PGT）について

発育した受精卵（胚盤胞）から一部の細胞を取り出し、必要な検査を行う技術を着床前診断（PGT）と呼んでいます。PGTには以下の３つの検査があります。

着床前胚遺伝子検査（Preimplantation Genetic Testing for Monogenic disorder；PGT-M）　

重篤な遺伝性疾患の遺伝的素因があるカップルに対して、受精卵の遺伝子検査をする目的で行われます。PGT-Mではその疾患の遺伝的素因のない受精卵を移植することで、疾患を発症しない子を得る可能性を高めることができます。

当院は日本産科婦人科学会のPGT-Mの承認実施施設であり、遺伝カウンセリング室、小児科、産科と連携しながらPGT-Mを行うことが可能です。PGT-A、PGT-SRについては、現在申請に向けて準備中です。詳細は担当医にお尋ねください。

着床前胚染色体異数性検査（Preimplantation Genetic Testing for Aneuploidy；PGT-A）

受精卵に染色体の数の異常がある場合に、着床しづらくなったり、着床したとしても流産しやすくなることが分かっています。PGT-Aでは受精卵の染色体の数に異常があるかどうかを調べ、異常のない受精卵を移植することで着床率を高め、流産率を下げることが期待できます。

着床前胚染色体構造異常検査（Preimplantation Genetic Testing for Structural Rearrangement；PGT-SR）

染色体の構造の異常（均衡型転座等）を原因として繰り返し流産するカップルに対して、流産を回避する目的で行われます。PGT-SRでは、遺伝情報に過不足がある受精卵かどうかを調べ、異常のない受精卵を移植することで着床率を高め、流産率を下げることが期待できます。