耳鼻咽喉科の病気とその治療について
1. 口腔内?のど、頸部の病気
当科で行なっている代表的な口腔内?のど,頸部の手術について説明します。
顔の横断面図です。のどの奥は、咽頭(いんとう)と呼ばれ解剖学的に3つに分かれています。のど仏付近で、気管から肺につながる喉頭(こうとう)と、食物が通る食道に分かれます。喉頭には声帯があります(次の写真をご覧ください)。
顔の横断面図です。のどの奥は、咽頭(いんとう)と呼ばれ解剖学的に3つに分かれています。のど仏付近で、気管から肺につながる喉頭(こうとう)と、食物が通る食道に分かれます。喉頭には声帯があります(次の写真をご覧ください)。
< 喉頭とは? >
喉頭を上から内視鏡で見た写真です。声帯はV字をしており、発声時は右図のように左右の声帯が真ん中で閉鎖します。隙間から呼気を出すことで声帯が振動し、声が出てきます。
声帯の後方には食道入口部が見えます。胃酸が逆流し声枯れや咳の原因になることもあります。
< 頭頸部腫瘍について >
良性から悪性(がん)まで多くの組織型があります。
以下は自分で観察できる代表的な悪性腫瘍(がん)です。必ずしも痛みを伴うとは限りません。上の4枚の写真は全て舌がんです。
疑いがあれば、生検(一部切除して顕微鏡下で組織型を決定する)や画像(エコーやCT、MRI、PET-CTで大きさや広がりを調べる)などの各検査から診断を行います。そして、手術や放射線?抗がん剤治療など適切な治療を選択していきます。
上咽頭がんや下咽頭がんは、内視鏡検査で発見することができます。喫煙や飲酒、胃酸の逆流やパピローマウイルスも発生に関与することが分かってきています。のどの違和感、食物が通りずらい、頸部しこり(頸部リンパ節転移による)などの症状で見つかることがありますが、症状がない場合もあります。
< 良性疾患 >
良性疾患も多くあります。口を開けると舌の奥に左右に見えるのが扁桃腺(口蓋扁桃)です。写真のどちらも正常の扁桃腺であり、サイズはいろいろです。
下のように大きいサイズの場合には、夜間いびきや無呼吸の原因になっていることがあります。在宅でできる無呼吸検査を行い、必要があれば全身麻酔下で摘出手術を行います(7~10日間入院)。
小児の場合には、口蓋扁桃と共にアデノイド(鼻の奥の上咽頭に見られるリンパ組織)が大きくなることがあり、扁桃腺と同様にいびきや無呼吸の原因になります。中耳炎を引き起こしていることもあります。
脳や体の発育や発達に影響することがあり、夜間無呼吸検査を行い、適応があれば手術による切除を行います。
脳や体の発育や発達に影響することがあり、夜間無呼吸検査を行い、適応があれば手術による切除を行います。
頸部のしこりには以下のような疾患の可能性があります。のどの検査と同様に生検(この場合は針で穿刺します)や画像検査からまず診断を行い、適切な治療法を選択します。
良性であれば1週間前後の入院ですが、悪性の場合には1?2ヶ月かかることもあります。??良性:甲状腺腫、唾液腺(耳下腺?顎下腺)疾患:腫瘍(多形腺腫、筋上皮腫など)、唾石ほか)/頸嚢疾患(側頸部嚢胞、下咽頭梨状窩瘻ほか)/急性?慢性炎症性疾患
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良性であれば1週間前後の入院ですが、悪性の場合には1?2ヶ月かかることもあります。
??良性:甲状腺腫、唾液腺(耳下腺?顎下腺)疾患:腫瘍(多形腺腫、筋上皮腫など)、唾石ほか)/頸嚢疾患(側頸部嚢胞、下咽頭梨状窩瘻ほか)/急性?慢性炎症性疾患
??悪性:甲状腺がん、頸部リンパ節転移、ほか
2. 耳の病気とその治療
当科で行なっている代表的な耳の手術について説明します。そもそも耳は外耳(鼓膜の外)/中耳(鼓膜の内側)/内耳(骨の中)に分かれており、中耳内には鼓膜と内耳をつなぐように小さい骨(耳小骨)が3つ連続しており、鼓膜からの振動を増幅して内耳へ伝えます。手術は、主に中耳の病変をとり、聞こえを良くすることが目的です。
左は鼓膜に穴が空いています(慢性穿孔性中耳炎)。右は鼓膜が中耳粘膜に張り付いています(癒着性中耳炎)。鼓膜の動きが鈍くなるため、難聴になります。
鼓膜穿孔の閉鎖は穴の大きさにより、真珠腫についても病変の大きさによって、日帰り/入院、耳内/耳後部からと分かれています。
鼓膜穿孔の閉鎖は穴の大きさにより、真珠腫についても病変の大きさによって、日帰り/入院、耳内/耳後部からと分かれています。
真珠腫について説明します。中耳は鼻と耳管を通して繋がっており、耳管は嚥下を通して気圧を調節する役目がありこれにより鼓膜が膨らんでいます。例えば鼻すすりなどによりこの調節が悪くなると、鼓膜が中耳側へ引き込まれ、真珠腫が発症する原因の一つであることが分かっています。
手術では、真珠腫を取り除くと同時に耳小骨も部分的に摘出します。摘出後は、耳小骨が連動して音が伝わるように、耳小骨間に軟骨などを置き,仕掛けを作ります。
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今回お話しした治療を鼓室形成術といいます。その他、あぶみ骨手術、人工内耳埋め込み術、外リンパ瘻閉鎖術、外耳に対する手術(耳瘻管摘出術、外耳道拡大術)、外耳道悪性腫瘍手術など、ほぼ全ての耳手術に対応しております。
3. 鼻、鼻涙管の病気とその治療 <鼻副鼻腔内視鏡手術>
当科で行なっている代表的な鼻の手術について説明します。
そもそも鼻の中は上?中?下鼻甲介という骨の隆起があり、空洞(副鼻腔)に繋がっています。骨の表面は粘膜で覆われており、この粘膜に大切な役割があります。(写真はCT)
そもそも鼻の中は上?中?下鼻甲介という骨の隆起があり、空洞(副鼻腔)に繋がっています。骨の表面は粘膜で覆われており、この粘膜に大切な役割があります。(写真はCT)
この粘膜の表面には線毛があり、吸気を加湿?加温したり、異物が入ってくれば排泄?除去、免疫による防御反応を起こしたり、声を響かせるなどの働きがあります。
手術前後は鼻洗浄がオススメです。生食食塩水を人肌程度に温め、洗面所で下を向いた姿勢で片方の鼻からゆっくり洗ってください。
手術を予定していない方でも、異物そのものを洗い流す効果がありますので、風邪を引いた時やアレルギー性鼻炎のひどい時などたまの使用も有効です。
手術を予定していない方でも、異物そのものを洗い流す効果がありますので、風邪を引いた時やアレルギー性鼻炎のひどい時などたまの使用も有効です。
鼻涙管に対する手術(涙管鼻腔吻合術)
鼻涙管は目から出た涙が鼻内へ流れる通り道です。これが閉塞すると、途中が感染し眼脂(目ヤニ)が溜まったり、ひどい場合には図のような涙嚢炎を反復することがあります。涙を通り道を作るこの手術は、全身麻酔下で4~5日の入院で行っています。