造血幹細胞移植はどんな患者さんに行うの?
通常の治療では病気を根治する(完全に治す)ことが難しい患者さんに対して行う治療法です。造血幹細胞移植は治療の副作用の強い治療法です。最悪の場合には治療の副作用で命を失ってしまう可能性もあります。そのようなマイナス面よりも、病気を根治する確率が高くなるというプラスの面の方が上回ると考えられる状態の患者さんだけに行います。
造血幹細胞ってなに?
造血幹細胞というのは、三種類の大事な血液細胞、すなわち、白血球、赤血球、血小板のすべての源になる細胞の細胞です。
通常は骨髄の中にありますが、抗がん剤を使った化学療法の後や、G-CSFという白血球を増やす薬を注射した後に、末梢血(体を流れている血液)中にも増加することがわからいました。また、臍帯血(へその緒の血)にも豊富に含まれています。
ですので、造血幹細胞移植には、骨髄移植(BMT)と末梢血幹細胞移植(PBSCT)と臍帯血移植(CBT)の三種類があります。
どうして造血幹細胞を移植しなくてはならないの?
急性白血病や悪性リンパ腫などの血液の悪性腫瘍(がん)は、抗がん剤による治療(化学療法)の効果が出やすい病気ですが、抗がん剤だけで根治する人は半分以下です。より高い治療効果を期待して抗がん剤の量を増量すると、副作用の骨髄抑制のために、白血球や血小板などの数が少なくなり、もとの数に回復しなくなってしまいます。
そこで、強い抗がん剤治療や全身への放射線照射によって、悪い細胞を強くたたくとともに、患者さんの骨髄機能を抑制し(これを移植前処置と言います)、その後に、造血幹細胞(白血球、赤血球、血小板の源になる細胞)を移植することによって造血をサポートし、正常な血液がつくられるようにしようという考えで始まったのが造血幹細胞移植術です。
また、再生不良性貧血のように、造血幹細胞がうまく働かなくなった患者さんの治療としても、ドナーさんの造血幹細胞を移植することによって、血液をしっかり作ることができるようにするという目的でも行われています。